生きる、信仰 浅井 寛司

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生きる、信仰

photo by 浅井 寛司


人はこの世に出生を受けた時より、様々な困難や不幸を背負い苦を共に生を全うする。苦を克服するために人々はいつの時代も祈りを捧げ、神を尊んできた。
古代インドに生まれし釈迦は「生きる事は苦である」と説き、苦に向き合い生きる智慧を人々に授けた。約2600年ほど昔に釈迦より人々が授かった智慧は、
その時代、その土地に根ざした変化を遂げるも、苦を克服するための智慧という基本思想は今なお変わること無く受け継がれている。
それは、2000年以上もの時を得ても人々が根本からの苦を克服することは出来なかったからである。  

仏教が、はるばる海を越え伝来した我が国日本と、ヒマラヤ山脈を越え伝来したチベット。土地も歴史も大きく差違のある両者だが、大乗仏教を基とした精神を持つ民族、という共通した両者でもある。
大きく経済発展を遂げ物質的豊かさを享受してきた日本において、苦は欺かれると同時に「生きる事」への意識も漠然たるものとしているのではないだろうか。
そんな日本とは対照に、物質的豊かさとはほど遠く民族の歴史にも不遇を抱えたチベットだが、チベット仏教という絶対的な支えを持つ彼らは、
「生きる事」への信念と理解を強烈に持ち合わせている。苦と向き合い生きる事で人々はより他者への思いやりに満ち、他者の救いを直向きに祈る事が出来るのである。
己の為で無く、すべての人々に救いをもたらす大乗仏教の精神を彼らは生きた信仰、智慧として実践しているのである。  

他者を思いやり、多くの者への救いを祈るチベットの人々。その生き様は尊く気高さに満ちた物であった。苦と向き合い生きた信仰を携える彼らの生活に迫り、懸命に生きる人々の素顔を写し出した。


浅井 寛司

● 略歴
1984年三重県鈴鹿市生まれ。
大阪芸術大学芸術学部デザイン学科卒業後、エンターテインメント企業にてビジュアルアーティストとしてデザイン業務を担当。
会社業務の傍ら独学で写真を始め、世界各地にて取材撮影を重ねる。国内外問わず魅力ある風景や人々の営み、文化に焦点を当てその地に息づく物語を写し撮る。  

HP:http://hiroshiasai.com/
Facebook:https://www.facebook.com/runashi84

● 展示&入選歴
2011年 クロスロードギャラリー 写真展「夢の痕に見た鉱景 ~鉄の巨人と白妙の庭~」
2014年 ニコンサロンJuna21 入選 写真展「標高4000Mの祈り」
2014年 JPS展 入選 「万物斉同」
2015年 第24回 林忠彦賞 最終選考ノミネート
2016年 ポイントウェザー 写真展「ビルマの微熱」
2016年 キヤノンギャラリー 写真展「生きる、信仰 -Prayers of Tibet-」


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