時の署名/Chronosignatures 村山 康則 showcase-VOICE-

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時の署名/Chronosignatures

photo by 村山 康則


空港のカウンターで異常なまでに激昂し怒鳴り続ける人を見た。悪天候で飛行機が遅れているらしい。
利便性が追求され次々に新しいサービスが生み出され消費されていく。物質を手に入れることで得られる幸福は長続きせず、
新たなモノを手に入れ続けることでしか幸福は持続できない仕組みになっているかのようだ。
より便利でより迅速なサービス、より優れた機能やデザイン。望むことの全てがその場で手に入ることに慣れきってしまった時に、
人智を尽くしても変えることのできない天候をさえ変えろと迫る精神となるのか。

これらの写真に写っている傷やほころび、汚れは過去のある時そこに何らかの力が作用した結果です。
それらは今もその場所にあるのかもしれない、または無いのかもしれない。しかし過去のある時点で確かにそれらが存在したことは事実であり、
写真によって今それを知ることができます。

時間は流れ続けるということを私が思考している「今」も次々に「過去」となっていきます。脈々と流れる時の中で自分自身変わり続け、
前へ進みたいと思うのと同じぐらいにその流れの中に不変なものが存在してほしいとの思いにもかられます。

それは例えば、現代の我々が日々感じる喜びや怒り、悲しみなど何かの本質だと思えるものは200年前の誰かのそれと何一つ変わっていないのだと信じる気持ちに似ています。


村山 康則

【略歴】
北海道余市町出身、神奈川県横浜市在住
獣医師、コンピュータープログラマー、会社員等を経験する中でオーストラリア、ドイツ、インドでの生活を経て2015年より作品制作に本格的に取り組む。

【受賞歴】
2015 御苗場 Vol.16 横浜 レビュアー賞(鈴木芳雄氏選)

HP:http://www.yasumurayama.com/


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