Dew Dew, Dew Its 田中 ヒロ showcase-VOICE-

BACK

Dew Dew, Dew Its

photo by 田中 ヒロ


2012年にAsian  Man  Recordsより出版された、田中ヒロの初写真集『Dew  Dew,  Dew  It's』。
彼が、アメリカのハードコアやパンクバンドのツアーに同行した際に撮影した写真を一冊にまとめた作品であるが、
ここに綴られているのは単にツアー中のバンドやライブの様子をヴィヴィッドに描写したものではない。
そこには、アメリカの自然の風景、人々の社交場の風景、そしてミュージシャン達の音楽生活の風景も知的に映し出されている。
ステージに立つ、大勢のファンに囲まれるといったカオスで予測不可能なライブや野外パーティーのひと場面、または移動バスの車内 。
一方で、騒ぎの翌朝の静けさも丁寧に表現されている。ツアー中のバンドの日常という異質な世界が、
彼によっていかに巧みにとらえているかはどのページを開いてもわかる。田中ひろは常に被写体の近くに身を置き、撮影に挑む。

最高潮に盛り上がる夜の一場面を撮影する際、彼は頻繁にフラッシュを活用する。
しかし、このフラッシュは単にブレを防いでいるのではない。
被写体の動作をヴィジュアル的に、より鮮明に写し出すことが第一目的なのである。
視覚的な刺激を与えることしかできない彼が、こうして激しい色のコントラストを出すことで、
他の知覚器官へ刺激をもたらすことができないという自分の無力さを補っているかのように見える。
それは室内で撮影された写真にも同じことが言える。ケバブ屋、バー、ダイナーやジャンクフードを被写体にした彼の写真は、
わざと素人くさい表現方法が使われているが、こうした表現はスティーブン・ショアーの『American  Surfaces』にも見られる。
一方、整った構図の風景写真は、まさにリー・フリードランダーやロバート・フランクといった著名な写真家の影響を受けている。
例えば、典型的なアメリカの農地に広がる寂びれた道路の横にそびえ立つコカコーラの看板と電柱を
とらえた写真がそうである(日中に撮影、明白なフラッシュの使用は無い)。
彼は賢明かつ柔軟に撮影方法を選択し、  写真を通して直に体験した個々の場面を、常に説得力を持って伝えようとしているのだ。

『Dew  Dew,  Dew  It's』は、本の編集が素晴らしいという点でも感銘を受ける作品である。
個々の写真はそれぞれが特定の見解を示唆するが、それが本の見開きページで並んで表示されることによって、
アメリカのライフスタイルに対する皮肉的でユーモアあふれる描写を生み出す。
しかしながら、彼は自分の手で写し出したライフスタイルを完全に批判しているのではない。
結局のところ、そこに居合わせた彼自身もその一部なのだから。
それでも、彼の写真が表現しているように、撮影プロセスにおいて決して批判の目を失ってはいない。
彼の絶え間ない純粋な好奇心が無限のエネルギーと組み合わさっているのだ。
彼自身が心を開いて写真に挑む姿勢によって、今後も間違いなく注目すべき写真を生み出していくに違いない。

テキスト:ヤン=フレデリック・ルスト - 美術史家 http://faraway-eyes.blogspot.fr/
訳:川﨑  麻子


田中 ヒロ

○略歴
福岡県北九州市 出身
尾仲浩二 写真ワークショップ参加
写真集『Dew Dew, Dew Its』発売 2012年 12月 -  Asian Man Records(http://asianmanrecords.com/) - Los Gatos, California
Asian Man Records - Hiro Tanaka Page-http://www.asianmanrecords.com/hiro/

○受賞歴
Photobook Award 2013, Germany: Nomination - Foto Book Fesival Kassel, Documenta-Halle
Shashin Book Award 2014, France: Winner

○展示
Photo Off - 11/13 - 11/16、2014
La Bellevilloise
19-21 Rue Boyer, 75020
Paris, France

in)(between gallery - 1/5 - 1/16, 2015
Opening Reception: 1/8 Thurs
3 rue Sainte-Anastase, 75003
Paris, France

March 11 - March 31, 2014
The North Door - SXSW music / film festival
Austin, Texas

July 17- August 14, 2014
Aperture Summer Open
Aperture Gallery
New York, NY

July 26 - August 3, 2014
Gallery Kaido
Tokyo, Japan

September 5 - 20, 2014
Galley Bi-0
Osaka, Japan


VOICE OSAKA Culture WEB Magazine